水. 6月 16th, 2021
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5月22日~23日の日程で開催された、NAPAC 富士SUPER TEC 24時間レース。トヨタ自動車が持ち込んだ、水素エンジン搭載のカローラスポーツが注目を集め、モータースポーツ関連メディアだけでなく、民放キー曲やNHKなどがこぞってこの取り組みを取り上げました。

こちらの水素エンジン搭載のカローラスポーツ。もちろん市販車ではありません。しかし、カローラスポーツのボディにGRヤリスのエンジンを搭載し、使用燃料を水素に改造した車両ということで、主に開発車両などを走らせるST-Qというカテゴリで24時間レースに参戦。
途中トラブル(主に電気系でエンジンではないとの情報)もあったようですが、最終的に完走しました。

今回注目を集めたこの水素エンジン、現在トヨタ自動車が販売している水素自動車のミライとは別の技術の水素自動車として注目を浴びています。
ミライは、車両に水素タンクをもち、その水素から電力を生み出して走るFCV(燃料電池車)となります。FCVは電気自動車と似ています。通常EV(電気自動車)は、外部電源からの充電や、レンジエクステンダーと呼ばれるガソリン/ディーゼルエンジンを搭載しそのエンジンで発電した電力を使って走るタイプが主流です。ミライはこの発電部分に水素の反応を利用しています。

今回レースに参戦した水素エンジンは、ガソリンエンジンを動かすガソリンの代わりに水素を使う、内燃機関の自動車になります。しかし、燃焼させているのは水素であるため、CO2は理論上排出しません。
そもそも、ガソリンやディーゼルを燃料とする内燃機関は、シリンダー内で燃料が爆発する事でエンジンが動作する仕組みです。そのため、この爆発力を得られる燃料であれば、ガソリンやディーゼルでなくても良い。というのが大前提です。
これまで、ガソリンやディーゼル以外だと、ガスで動く車がありました。LPG自動車などです、主にタクシーで利用されているケースが多いです。ガソリンやディーゼルと比べるとLPGはパワーを出しにくいなどのデメリットがあるようですが、コストや環境負荷の面では高性能ということもあり、走行距離が長いタクシーなどの商用車では利用されています。
今回の水素エンジンはこの考え方と同じです。ガソリンの代わりに水素を燃料に使ってエンジンを動かそうという取り組みです。

水素エンジンの最大のメリットは、既存の内燃機関技術を流用できるという点です。日本は戦後の高度経済成長期に自動車生産をはじめ、今では世界中で日本車を見かけるほど世界の中でも自動車産業が大きい国です。
その間、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンを開発し、性能を高めてきました。性能は出力だけではなく環境性能という意味でも同じです。
また、現代でこそターボ車はダウンサイジングターボの普及で当たり前になりましたが、90年台の頃はまだターボモデルは一般的ではありませんでした。その時代に、軽自動車から普通車まで当たり前のようにターボ車を販売するメーカーは日本の自動車メーカーでした。
海外にもいいエンジンを作るメーカーは数多くありますが、日本の自動車メーカーの技術力は非常に高く、これまで培ってきた経験や技術が沢山残されています。

電気自動車の発展は、選択肢の一つとしてはいいのかもしれません。しかし、モーター制御と内燃機関ではおおよそ技術が異なります。テスラのような新興メーカーや中国がEVでは比較的進んでいるのは、内燃機関に比べると他の自動車メーカー比で技術に差がないこと。また、既存の自動車メーカーはEVに一本化できない事もあるので内燃機関自動車の販売や開発と並行して電気自動車の開発を進めるため思うように進まないなど、事情があると推測できます。
これに対し、水素エンジンは、これまでもお話の通り既存のエンジンに一手間加えることで、水素を燃料として使えるようになりますので、自動車メーカーが積み重ねてきた内燃機関の技術を応用できるメリットがあります。
これは既存の自動車メーカーにとって大きなメリットとなります。
また、トヨタ自動車代表の豊田氏の言葉を使わせていただくなら、これにより既存のサプライチェーンを活かし守ることができ、雇用の維持などにも大きく貢献できる。という事です。
先ほど書いた通り、電気自動車は技術的にも使用する部品も大きく異なります。そのため、エンジン関連部品を製造するサプライヤーには大打撃となります。もちろん、モーター関連の部品を作るように方向転換はできると思いますが、工場設備のことなどを考えれば容易ではありません。
その点、水素エンジンは同じ内燃機関ですのでこれからもそれらのサプライヤーが部品を供給できるのです。
また、電気自動車の場合はバッテリー製造に際してレアメタルを多く必要とすることから、製造段階におけるCO2排出が大きいという意見もあります。
対して水素エンジン自動車の場合、バッテリーは既存のガソリン車などと同じサイズで十分ですし、水素の製造にグリーンエネルギーを使う、グリーン水素の生産がすでに確立されているという事ですので、燃料の生成からCO2排出量を大きく低減できている。ともいえます。

現状ではまだガソリン・ディーゼルエンジン車が多く、ハイブリッド車は増えてきていますが、電気自動車は最近見かけるようになりった所で、決してまだ普及しているとはいえない状況です。
そんな中、水素エンジン技術が確立でき、水素ステーションも広がっていけば、一気に水素エンジンは普及していくのではないでしょうか?
特に水素エンジン車は、これまでのガソリンエンジン車とほとんど同様の取り扱いである点が大きいでしょう。
電気自動車のように、充電に時間を掛けなくて済みますし、水素ステーションで水素を補給するだけ。
コスト面でガソリン車などに近づけば普及は早いと思われます。
また、水素エンジンとのハイブリッドは、この技術が進めばすぐにでも開発されるのではないでしょうか?

さて、この水素エンジン。少し調べてみたところ、BMWも過去に開発していたことがあるようです。
開発のベースになったのはE38型7シリーズセダンで、V12型エンジンをベースに水素エンジンを開発。最高出力204馬力と、V12にしては非力ですが、今から20年前に水素エンジン自動車をすでに実現し、短期間ながらも運用していました。
こちらはドイツで行われたハノーヴァー万国博覧会(Expo2000)で、会場間を移動するシャトル車両としても利用されていたという事です。140リットルの燃料タンクを搭載し、最大航続距離350キロとなっていたようですね。

BMWのオーナーの多くは、BMWのエンジンが好き、BMWの走りが好き。という方も多いと思いますので、ぜひBMWにも水素エンジンの開発を再開してもらいたいですね。
スープラのようにトヨタ自動車と共同開発などあるとユーザーとしては非常に嬉しいところです。

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