火. 3月 21st, 2023

新年あけましておめでとうございます。首都圏では再びの緊急事態宣言という事で少し心配な状態が続きますが、今年も細々と更新していこうかと思いますのでよろしくお願いいたします。

さて、今回のテーマは、ツインパワーターボです。BMWのエンジンの多くは、”BMW ツインパワー・ターボ・ガソリン・エンジン”や、”BMW ツインパワー・ターボ・ディーゼル・エンジン”という表記をしています。
一見すると、ツインターボと勘違いしやすいですが、これらはツインターボではありません。という事で今回はツインパワー・ターボエンジンについて解説していきます。

BMW ツインパワー・ターボ・エンジン

現在BMWで主流となっている直列エンジンは、B38/B48/B58のガソリンエンジンと、B37/B47/B57のディーゼルエンジンです。
これらのエンジンでは、ツインパワー・ターボエンジンという表記が用いられています。欧州でのダウンサイジングターボの流れもあり、現在新車販売されているBMWのうち、電動モデルを除けば全車がターボエンジンとなっています。

ターボって?

そもそもターボとは何か?正式にはターボチャージャーと呼ぶ部品で、日本語では過給機と書きます。元々は航空機などで培われた技術です。
エンジンは、空気を吸気します。この空気とガソリンを混合して霧状にしたところに、スパークプラグで点火する事で動作します。
この時、空気を多く入れることができればより多くのガソリンを点火させられますので、パワーを出すことができるようになります。
通常、そのためにはシリンダー(気筒数)を増やすことによる多気筒化が単純で簡単な手段です。4気筒2000ccよりも、8気筒4000ccの方がパワーのあるエンジンができますね。ちなみに、エンジンの性格にもよりますが、4気筒2000ccで自然吸気の場合E90 320iなどに搭載されていたN43というエンジンで170PS程度でした。対して直6自然吸気だと、N52エンジンで272PS程度ありました。
2000ccで200PS以下、3000ccで300PS以下。ということになりますね。

ターボは、「空気をより多く取り込む」役割を持ちます。
エンジンが動作すると発生する排気ガス。この排気ガスを使ってターボチャージャーを動作させ、空気をより多く取り込みます。
エンジンの特性によってどの程度の過給圧にするかは異なりますが、より多くの空気を取り込むことにより、よりパワーを引き出すことができます。
例えばB48のうち430iなどに搭載されるB48B20Bエンジンは、4気筒2000ccながら252PSを発生します。N52エンジンにほど近いパワーを発揮しますね。
また6気筒3000ccとなるB58では326PSとなっており、E39 540iなどに搭載されたM62B44(V8 4400cc)の286PSを大きく上回ります。

エンジンNAターボ
直4 2000ccN43 170PSB48 252PS
直6 3000ccN52 272PSB58 326PS
V8 4400ccM62 286PSN63 407PS
V12N73 445PS
(6000cc)
N74 610ps
(6600cc)

このように、ターボを使うと排気量が小さくても簡単にパワーを得ることが可能です。以前はターボ=ハイパワーカー(スポーツカー)というイメージが強く、パワーが出る分、燃費が悪く、また管理が大変という物が多くありました。
しかしこれを逆手に取ったのが、ダウンサイジングターボです。
例えば、本来3000cc級エンジンで250PS程度必要としていた車に、2000ccターボを積むことで代用できたらどうか?排気量が小さく、またエンジンも小さい事でNA3000ccを積むよりもメリットが出るケースもあります。
例えば、最近のBMWだと330iが2000ccターボだったり、340iが3000ccターボなのはこのあたりが大きな理由です。BMWのグレード設定は実排気量ではなく、パワーに基づくエンジンの大きさ(概要)という形になっているわけですね。
そのため、E90の3シリーズであれば、325iなどは6気筒エンジンを搭載しますが、F30の3シリーズでは330iは4気筒ということになったわけです。

ツインターボの話

話が長くなりましたので、ツインターボについて。
このターボチャージャーを何個搭載するか。によって表現がかわります。

ターボ1つシングルターボ
ターボ2つツインターボ
ターボ4つクワッドターボ

市販車だとこの辺りまでが一般的(クワッドは一般的ではないですが市販されてますので、、、)
ターボが何個ついてるか?によって、シングルターボやツインターボという言い方をします。
ターボの個数で違いがあるのか?ということですが、排気量が大きくなればその意味は大きくなります。
例えば、6気筒3000ccのシングルターボの場合、一つのターボが6つのシリンダーに空気を送り込むことになりますので、それなりに大きいターボが必要になります。そうすると、アクセルレスポンスが悪くなったり、パワーの出方が急激になるなど、デメリットも増えていきます。
そこで、3気筒1500ccづつのツインターボとすれば、タービンを大きくすることなくパワーを得ることができます。あるいはよりパワーを求めるのであれば、ツインターボかつ大きなターボ。という構成もありえます。
とはいえ、一般的にターボの数が増えればその分パワーが出る(扱いにくさも増す)と考えるのが一般的です。

ツインパワー・ターボとは?

やっと本題ですが、ツインパワーターボとは何か?BMWが表現するツインパワーターボは、ツインターボという意味ではありません。
2014年にエンジン・オブ・ザ・イヤー・アワードを受賞した時の記事を見てみましょう。
どうも、ツインスクロールターボという技術を取り入れ、よりスムーズでパワーのあるターボエンジンを開発したことで贈られた賞のようです。

ターボチャージャーの動作には排気ガスが重要です。排気ガスが排出されることでタービンが動作を始めます。この排気ガスを二つのルートから取り込み動作をよりスムーズにしようという技術がツインスクロールターボです。
また、BMWのエンジンも他社同様に可変バルブタイミング機構を用いています。BMWではVANOSと呼んでますね。これらのテクノロジーを複合的に使ってるので、「ツインパワー・ターボ・エンジン」という表現となっているようです。
したがって、ツンパワーターボ=ツインターボは間違いですのでお気をつけください。
なお、BMWの場合、「ツインターボ(ターボ2個)」はMモデルとV8以上のエンジンとなります。
そのため、直列エンジンでM以外(M Performance含む)のモデルはシングルターボとなります。

おまけ

さて、冒頭で航空機の技術とご説明しました。もうお気づきの方もいるかもしれませんが、通常エンジンは地上での大気圧(1気圧)の空気を吸入し、動作します。しかし、航空機がより高高度を飛ぼうと思うと、気圧は低くなり1気圧以下になります。そのため、必要なパワーが出ないだけでなく、場合によってはエンジンが動作しなくなり墜落の危険があります。
そこで、より高高度を飛ぶためにターボチャージャーが使われました。
過給することで高空でも1気圧の空気をえられるだけでなく、地上ではよりパワーを得られますので、離陸時の加速などでもメリットがあると考えられます。
航空機に関しては、ジェットエンジンやガスタービン、ターボファンエンジンなど自動車のエンジンとは異なるエンジンが開発、利用されています。

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