BMWの純正タイヤは多くの場合ランフラットタイヤが使われています。
しかし、Mモデルの場合、ランフラットではなく、従来通りのラジアルタイヤが使われるケースが殆どです。
これは、18インチでも、20インチでも。同じ。
理由の一つは、重量にあります。
ランフラットタイヤは、パンク時にサイドウォールのみで走行可能なように作られているため、サイドウォール部分を硬くしてあります。硬い=重いとも言えますので、Mのようにより加速性やハンドリングを大事にするモデルには、大きな問題になります。
特に、フロントタイヤはステアリングのレスポンスにも影響するので、これを嫌がるのは事実でしょう。
また、バネ下重量に関しては、バネ下の1kgはバネ上の4kgに相当するとも言われます。4倍が本当に正しいかは別ですが、それくらいハンドリングを含めた車の動きに対して大きく影響するという事です。
高性能車の場合、どうしてもブレーキを大きくする事になりますので、タイヤで1gでも軽くしたいというのは事実でしょう。
理由二つ目はレスポンスです。
非常にピーキーな性格にするのであれば、サイドウォールの硬いランフラットでも良いのかもしれませんが、コーナリング中にもう一段コントロールの幅をもたせたいと思うのであれば、サイドウォールの潰れ方が大事です。潰れれば良いという物ではありませんが、サイドウォールが綺麗に潰れれば、コーナリング中のコントロールに幅が持てます。
さて、車検の基準なども少し変わってきました。ランフラットタイヤ装着者の場合、スペタイヤの装着が義務ではなくなりました。これにより広いラゲッジの確保と積載物という意味での重量軽減。またシャーシ下部のスペースが空きますので、機能部品取り付けスペースの確保などでも意味が出てきます。
という事は、ランフラットタイヤ装着車は、通常のラジアルは使えないのか?
答えはNoです。パンク修理キットを積む事でラジアルタイヤでも走行が可能です。
もちろん、ランフラットで走行可能なパンクの程度と、パンク修理キットでは状況が違いますし、ランフラットであれば停止しなくても速度を落とせば走れますが、パンク修理キットは停止して修理を必要とします。
例えば高速道路上であれば、ランフラットタイヤの場合速度を落としてパーキングエリアまで走る。という事が可能ですが、通常のラジアルタイヤの場合、速やかに路側帯などに車を寄せてパンクの修理またはレッカー要請が必要になります。
安全性の面で言えば、ランフラットの方が良いのは事実かもしれません。
ただ、ランフラットはその硬いサイドウォールから、ちょっとした段差や道路の継ぎ目なども比較的拾いやすく、衝撃として受けやすくなります。
特に、アダプティブサスペンション装着者の場合、Sportモードなどでダンパーを硬くしているタイミングだと非常に強烈な衝撃に感じるかもしれません。同乗者を含め、こういった下からの突き上げがどうしても嫌という場合は、ラジアルにする事で感触が大きく変わります。
事実、ランフラットから通常のラジアルに変更するというケースは多いようで、乗り味という点では非常に違いが大きいようです。