和製高級ブランド・レクサスか、BMWか?

日本に限らず、世界というレベルで見ても総合的に判断して上位の自動車メーカーに位置するトヨタ自動車。
同じレベル感でのライバルはVWグループや、GMなどとも言われます。
トヨタ自動車のグループはいまや幅広く、スバル・ダイハツがグループである事は周知の事実ですが、大型車部門では、日野自動車もグループです。
その他、サプライヤー系メーカーなどもグループであるほか、KDDIの主要株主でもありその活動範囲は非常に広い会社です。
さて、車の話にもどしますが、トヨタの高級車といえば、十数年前まではセンチュリーをフラッグシップとしながらも、どちらかといえばショーファードリブンという性格から、オーナー向けとしてはセルシオがトップに、マジェスタ、アリスト、クラウンという段階的なラインナップを持っていました。
2005年に、トヨタはレクサスブランドの日本展開を開始、90年はじめ頃から北米で展開をはじめ、海外で展開していたレクサスブランドを日本国内に持ち込みました。
その結果、フラッグシップとなるLSに吸収する形でセルシオを販売終了、アリストはGSとして、アルテッツァ(プログレ/ブレビス)はISとして統合されて行きました。

さて、最近自動車メディアの記事を見ていると、レクサスは高額車であって高級車ではない。というなかなか刺激的な記事を見かけました。
実際にレクサスよりもBMWを選んだ側のユーザーとして、この記事の内容はあながち否定できないと感じた部分が非常に多くありました。
という事で、実際にレクサスISと3シリーズ/4シリーズを比較して見たいと思います。

 

BMWのF3系はDセグメントに属するセダンおよびその派生モデルです。BMW自体は本国ドイツを含めた欧州圏でも、プレミアム市場をターゲットとしており、大衆メーカーの同等クラスから考えると安価ではありません。
実際にドイツ本国のWebサイトなどを確認してもらうとわかりますが、日本と本国で価格差はあまりありません。
もちろん、輸送コストは日本の方がかかりますが、日本は輸入車に対する関税がないのも大きな要因です。
例えば、4シリーズグランクーペ・420i/Msport Package/8ATの場合、ドイツ本国では47.450,00€となり、直近のレートで考えると、6,234,950-となります。日本での販売価格は同型で¥6,420,000-ですので、実は本国との差はあまりありません。
実際には標準装備の装備内容が一部異なります。例えばLEDヘッドライトはLCIモデルでもオプション設定のようです。また、オプション価格が1.190,00€ですので、実際にはこの金額を加えると価格差がなくなるようにも思えます。

 

さて、レクサスで同じDセグメントを考える場合、ISが該当します。もともと3シリーズはCセグメントに属していましたが、近年のボディ拡大などによりDセグメントに移行しています。
ISはトヨタでの同等車格で行くとマークXとなりますが、もともとマークⅡ三兄弟の車格といえます。
レクサスISは、元々は日本でアルテッツァとして販売されていたセダンに行き着きます。これを北米などではスポーツセダンを意味するISとして販売していました。
これが、2005年のレクサス日本導入を契機にISとして導入されました。アルテッツァはDセグメントとされていますが、車体サイズはCセグメントに近いモデルでした。
これが2代目ISとなるGSE2系からフルサイズのDセグメントとして、少しサイズが拡大されて販売されています。

 

価格やグレード体系で見て行くと、非常にBMWを意識したかのように見えます。
Luxuryに相当するversion Lと、Msportに相当する F SPORTに加え、ベースモデルというラインナップになっています。
version Lがより快適性を求める方向で、タイヤも17インチなどで設定、F SPORTは走りに重きを置いて18インチという設定にするなど、非常に似た印象です。
シートも、version Lは本革シートを標準設定、F SPORTにはスポーツシートというコンビネーションです。

 

さて、価格差ですが、細かい価格差は別としてみるとあまり大きくさは出ていないように感じます。

BMW 320i レクサス IS
BMW 320i 設定なし レクサス IS300 ¥4,700,000-
BMW 320i Luxury ¥5,770,000- レクサス IS300 version L ¥5,308,000-
BMW 320i M sport ¥5,830,000- レクサス IS300 F SPORT ¥5,204,000-

 

BMWでは、現在パッケージの無い320iの設定がなくなっているため、ここの比較ができませんでしたが価格差はほとんどなく、少しISの方が安い印象です。
販売上でポイントになるのは、完全受注生産のレクサスは値引き幅が決して大きく無い事。これに対し、3シリーズは在庫が多い車種ですので、在庫車からの選択となると値引き幅大きく、実売価格はでは大差がない事です。

では実際の装備面ですが、装備に関しても大きく差がありません。レーダーやカメラを用いた安全装備などの技術は一通り装備されているほか、ヘッドライトはどちらもLEDですし、テールやウインカーもLEDが採用されています。パワーシートなどはもちろん装備されています。細かい部分では、3シリーズではオプション選択が可能なヘッドアップディスプレイも、ISには設定がない。という物や、レクサスはフロント対向キャリパーが標準装備(3シリーズはファストトラックパッケージのオプション設定)という細かい部分での違いはあるものの、大きくは違わないと考えた方が良さそうです。実売価格に大きく差はなく、装備や使われている素材という面でも大きく違いません。

 

最後に最大の違い、走りを見て見ましょう。
これは、サーキットのタイムや0-100km/hのタイムを比べても仕方ありませんので、実際に試乗で得た感想。という点でお話を進めます。
IS300は4気筒ターボモデルという事ですが、元々はIS250として2500ccNAだったモデルのダウンサイジングターボ版という見方をするのが正しいでしょう。
ダウンサイジングターボとして、決して遅くはないですし、いい走りをしてくれますが、軽快感がないともいえます。あまり軽快な出だし、軽快なハンドリングとは言えず、少し「頑張る」感じがするのも事実です。市街地など、トラフィックの多い状況下では気になることはありませんが、長距離かつ高速道路を流す場合などは、少しパワー不足を感じるかもしれません。同様に峠道なども軽快に走れる。とは言い難いのが事実です。
320iも決してパワフルなモデルではありません。しかし、特にLCI以降のB48エンジンからは、ギヤ比とのマッチングもあり、軽快感が非常に高く走っていて楽しいと感じられるモデルです。
2000ccで170馬力程度しかないはずですが、スポーツモードでの加速は非常に力強く、首都高速のような合流車線が短い高速道路でも恐怖心を感じることなく合流などがスムーズに可能です。

 

実際にこの2車種は同じようなスペックをしており、大きくは差を感じられません。
また、日本の道路事情に合わせてセッティングされたISの方が本来は日本の道路環境に合うようにも感じますが、欧州の道路事情に合わせて作られた320iの方が、実際には日本でもいい走りをする。というのが現実のようです。
コーナリング中の路面に吸い付くようなグリップ感やそこからくる安定したコーナリングなど、より高い速度域を想定して作られたドイツ車だからこその余裕を感じられる瞬間でもあります。

実際には、この走りの質感の違いを、どれくらい重要視するのかは選択する上での重要なファクターとなりますが、良い走りをする高級車を選ぶという点で行くと、BMWを超えるには至らないようです。
トヨタも走行性能の向上という点で、様々な施策を行なっているようです。昔のクラウンのようなフワフワしたサスペンションで大きくロールさせてコーナーを曲がって行く。というレベルではなくなっているようですが、それでもまだ、欧州車の物とは違うようです。
メディアなどは、これを日本車は欧州車に追いついていない。と描きたがりますが、個人的にはこれはトヨタが守りたがっている部分。日本車としてのアイデンティティとして残したい部分なのではないかと思います。
ただし、日本では高級車のベンチマークは、概ねドイツ車となりますし、BMW/Audi/Mercedesは外れませんので、ここをベンチーマクとして評価された時、どこまで行ってもその乖離は出てしまうでしょう。
また、BMW3シリーズは、いつの時代もFRセダンのベンチーマクとしての存在と言われます。これは世界中のメーカーが同様に口にすることでもあります。
そう考えると、やはり走りの質感は、まだまだ追いついていないのかもしれませんね。

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